iPhoneで手軽に050IP電話 - 050 plus これは革命的かも

050 plusは、NTTコミュニケーションズからこの7月1日にリリースされたiPhone用のアプリケーションです。050IP電話としてiPhoneから掛けることができ、受けることができる。通話料は050IP電話並み。ただそれだけのアプリなんですが、でも、これは様々な可能性を秘めているものだと感じました。

050IP電話とは

IP電話というのはインターネットプロトコル(IP)で音声データを運び通話できる電話のこと。その中で、俗に050IP電話と言われているものは、050からはじまる日本国内の電話番号を割り当ててもらえるIP電話です。原理上は、インターネットに接続できる環境(モバイルWi-Fiルータや公衆無線LANを含む)があればどこからでも利用可能です。050電話番号を持っているため一般電話(固定電話、携帯電話を問わず)への発信だけでなく着信も自由に可能です(110番、119番、0120番号、0570番号などに発信できないという制限があります)。@niftyなど多くのインターネット接続プロバイダでも、常時接続契約をしているユーザに対し、基本料無料、または非常に安価なオプションとして050IP電話を提供しています。050IP電話は、大きく分けるといくつかの事業者(たぶん3グループくらい)が提供しており、それを一般向けにインターネット接続プロバイダなどが取り次いで小売りしている状態です。同一グループ内の050IP電話どうしの通話料は、無料です。

従来は、ごく一部の例外を除き、050IP電話は家庭や会社の固定電話のかわりに使うもの(固定IP電話)でした。原理上はIP接続可能な環境であればどこからでも利用可能な仕組みなのに、携帯電話からの利用はできませんでした。

通話料が安い050 plus

050 plusを単体のiPhoneアプリとして見た場合、メリットは、通話料が安価、または無料になること。NTTコミュニケーションズ(のグループ)がかかわっている050IP電話への通話料は他人のiPhoneの050 Plusを含め無料ですし、そうでない場合にも対固定電話で3分間ごとに8.4円、対携帯電話で1分間ごとに16.8円と安価です。

日本国内でiPhoneを持つ場合、ふつうの人はソフトバンクと契約をして使っているものと思います。ソフトバンクの基本通話プラン(ホワイトプラン)の場合、ソフトバンク携帯電話宛の通話は、夜の21時から翌日深夜1時までを除き、基本料金の980円のみで通話し放題、というのがウリですが、050 plus相互の通話だったら24時間いつでも無料です。

携帯電話から固定電話にかける機会が多い人は、通常は30秒あたり20円程度(携帯キャリアやプランによって異なります)の通話料を支払っていることでしょう。3分間に換算すると120円くらいですか。でもこれも050 plusを使って発信すれば8.4円で済んでしまいます。固定IP電話と同水準の料金です。ごく短時間の通話ではあまり目立ちませんが、例えば3分間弱の通話料は1/10以下になってしまう。ものすごい価格破壊。

でも、メリットは、安いだけじゃ無いと思うんです

050IP電話の可能性

NTTコミュニケーションズの発表(ニュース 2011年7月1日:スマートフォン上での050IP電話サービス「050 plus」の提供開始について | NTTコミュニケーションズ 企業情報)によると、現在、Android版とPC版の050 plusを開発中なのだそうです。PC版はともかく、Androidでも050 plusが利用できるようになると、相手のケータイがソフトバンクだろうとauだろうとドコモだろうと、イーモバイルだろうと日本通信だろうと、キャリアに無関係に通話料が安く(または無料に)なってしまうわけですね。これはたいへん大きな変化です。でも、これは、単に安くなりました、ってだけのハナシ。

さてさて、ここからは妄想が入ります。

ひとつの050 plus契約で、複数のデバイス(iPhoneやらAndroidやら家庭の電話)の間でひとつの050電話番号が共用できるようになったとします。法的な制約はどうなっているか把握していませんけど、技術的には簡単なはずです。もしもそれが実現すると、電話の利用のしかたが変わってしまうのではないかと思うのです。

これまでは、自宅やオフィスでは固定電話を、出先では携帯電話を使用する、ってパターンがよく見られました。これだと、相手が不在だった場合、基本的には自宅回線からかけた電話は発信元の番号(自宅電話)に折り返される可能性が高い。携帯電話からかけた場合も同様。なにかとややこしいので、発信元の電話番号を統一するために、通話料が高いのに目をつぶって基本的に携帯電話から発信している、という方も多いのではないかと思います。(私もそうです)

これだけでも不便ですが、通話用の従来型携帯電話とスマートフォンを併用しているような場合にはもっと不自然なことを強いられます。電話に確実に対応するためには、通話用の従来型携帯電話(番号を広く知らせてあるもの)を常に持ち歩いている必要があることになります。日によっては身軽にスマートフォン1台だけで済ませたいと思っても、それができない。スマートフォンからでは、家に置いてきた携帯電話への着信があったことがわからないだけでなく、留守番電話の内容をチェックすることすらできません。

でも050 plusに、もし複数のデバイスで同じ電話番号を共有する機能が付いたとしたらこれは変わります。携帯電話機(スマートフォン限定ですが)は、どれかひとつだけ持って出れば連絡が付くようになります。自宅やオフィスでも050 plusの番号で発信できるようになったとすると、自宅から発信して不在だった電話が自宅の番号に折り返されても、外出先のスマートフォンでそれを受けることができることになる。これは私のような、個人で仕事をしている者にとっては非常に助かることです。そのうち、名刺のいちばん目立つ部分に050IP電話の番号を入れるようになって行くのでしょうか。

電話機に電話番号がひも付いていた時代は終わるのではないだろうか

これまで、電話番号は、電話機に対してひも付いていました。これは初めて電話が実用化された昔からそうだったので、あまりに当たり前すぎて、そういうものだと思い込んでいました。携帯電話が普及しても、それは電話機が基本的に個人の持ち物となったにすぎません。電話番号 → 特定のあの人 という関係は(ほぼ)成り立ちますが、特定のあの人 → 特定の電話番号 という関係は、成り立つとは限りませんでした。

しかしこの050 plus。もしも、仮に、の話ですけど、同一番号が複数のスマートフォンやPCで共用できる、といことになったら、この関係は崩れます。電話番号が本当の意味で人にひも付く、と言っても良いでしょう。会社に所属して仕事している場合にだって、これまではその部署のダイヤルイン番号を名刺にプリントしておくのがふつうでした。でもこれも社員ひとりひとりが050のダイヤルイン番号を持ち、業務時間中は外出先でもそのまま受ける、というように変化して行くのではないでしょうか。

もちろん、希望すれば、プライベート用の050番号と仕事用の050番号を簡単に使い分けることができるような仕組みにはしておいてほしいです。

050 plusに実現してほしいこと

  • 複数のデバイスで同じ050番号を利用できるようにしてほしい (多少の追加料金は可)
  • 複数の050番号を、簡単に使い分けることができるようにしてほしい (多少の追加料金は可)

050 plusに改善してほしいこと

  • 着信音を変更することができない点
  • マナーモードになっていると着信時、ブルッとiPhoneが1回振動するだけ → わかりにくいです
  • 電話帳に「あ」「い」「う」「え」「お」それぞれではじまる名前が登録してあった場合、あいうえお順に表示されるとは限らない(大きく「あ行」でくくられたその中のどこかにあるはずなのだけど、順不同で並んでいてわかりにくい)
  • 音質がですね、なんかこもったような感じで少々、聞き取りにくいです

050 plusのその他特徴

  • 050 plusは留守番電話(ボイスメール)機能を持っています。設定によっては、留守番録音した音声ファイルをメール添付で指定のアドレス(1箇所)に送信してくれます。これかなり便利だと思う。
  • 電話番号(下4ケタ)は好きな番号が選べます。好きな4ケタ番号を指定すると、050-XXXX-YYYY という番号1つが提示されます。いまのところ、気に入らなければ何度でも番号を指定しなおすことが可能なようなので、覚えやすい、良い番号を確保してください。
  • 9月30日まではキャンペーンで、月額基本料315円が最大3か月無料(申込み当月の月末までと、その後2か月分が無料)になっています。通話料のみで利用できるので、ぜひ試してみてください。

なお、利用にはクレジットカードが必要です。